生成AIは「本当の幸せ」を創れるか?親鸞聖人の教えに学ぶ、人間にしかできないこと
私のYouTube動画を生成AIが要約した動画を見て、その核心を突く精度の高さに衝撃を受けました。しかし、どれほど技術が進化しても、AIには決して持ち得ないものがあります。それは「感情」と「生きる目的」です。AI全盛の今だからこそ見つめ直したい、人間にしか果たせない「本当の幸せ」への道についてお話しします。
生成AIが示した、驚くべき能力
日進月歩で進化を続ける生成AI。その能力の一端に、私自身が深く驚かされる出来事がありました。ある視聴者の方が、私の過去のYouTube動画2本を生成AIに読み込ませ、その内容を要約した動画を作成して送ってくださったのです。それは、男女の対話形式で構成された約6分半の短い動画でした。しかし、その内容は、私が伝えたかった核心を見事に捉えており、そのレベルの高さに舌を巻きました。正直なところ、「自分で話すよりも分かりやすいのではないか」と感じたほどです。
AIが的確に捉えた「親鸞学徒の本道」
AIが要約の元にしたのは、「本願寺派 僧侶からの手紙 なぜ生きる ドイツの反響」と「親鸞聖人の教えと私たちの輝ける未来」という2本の動画です。
驚くべきことに、AIはこれらの動画から、私たちが最も大切にしている「親鸞学徒の本道」というべき核心を正確に抽出していました。それは、「自らの解釈や体験談を交えるのではなく、まず親鸞聖人ご自身のお言葉を根拠として示し、その上で丁寧に解説していく」という姿勢です。
- なぜ、親鸞会の話は講師によって内容が変わらないのか。
- なぜ、伝統教団の僧侶の方々が関心を持ってくださるのか。
その理由が、この一点にあることをAIは見抜いていたのです。
さらに、親鸞聖人のお言葉が、なぜそれほどまでに力を持つのか、その理由が「弥陀の直説(みだのじきせつ)」、すなわち阿弥陀仏が親鸞聖人の口を通して直接語られたお言葉であるからだ、という点にまで言及していました。AIのデータ分析能力と文脈理解能力には、ただただ感心するばかりです。
AIには越えられない「意識」という壁
これほど優れた能力を持つAIを見ていると、「いずれ人間の知性を超え、人間を支配するのではないか」というSF的な想像が頭をよぎるかもしれません。
かつて、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『ターミネーター』では、自己意識に目覚めたスーパーコンピューター「スカイネット」が、人類を「地球にとって最も有害な生物」と判断し、絶滅させるために戦争を仕掛けると いう恐ろしい未来が描かれました。
はたして、そういう未来が本当に来るのかどうか。
AIは言葉の「本当の意味」を理解していない
しかし、現在のAI研究における一般的な見解では、AIが映画のように自らの「意志」や「意識」を持つことはないとされています。AIはあくまで、与えられた膨大なデータから、最も確率の高いパターンを計算して人間らしい文章や画像を生成しているにすぎません。
実はAIは、言葉の「意味」を本当の意味で理解しているわけではないのです。
例えば、AIに「今日の天気は?」と尋ねて「今日は気持ちの良い晴れですよ」と返答があったとしても、AIは言葉の背後にある「実感」を伴っていません。 AIには、人間のような体験や感情がないからです。具体的には、AIには以下のようなことができません。
- 青空の美しさを心から「感じる」こと
- 肌をなでる風の心地よさを「体験する」こと
- 冷たい雨に打たれて街をさまよう、心を痛める「経験」を持つこと
AIは、喜びも、悲しみも、苦しみも、悩みも持ち合わせていないのです。それは、あくまで人間の使う、非常に優れた「道具」なのです。
人間にしかできない、たった一つの目的
AIは、これまで人間が行ってきた多くの知的作業を、人間以上に効率よくこなしてくれるでしょう。しかし、そんな万能に見える道具であるAIに決してできず、私たち人間にしかできないことがあります。
それは一体何でしょうか。
それは、「幸せになる」ということです。
これが、私たち人間がこの世に生まれてきた、たった一つの目的です。
私たちが果たすべき「幸せになる」ということ
私たちは機械ではありません。苦しみ、悲しみ、喜び、悩みを抱え、時に泣き、時に笑い、腹を立てることもあります。痛みを感じ、他者の痛みに共感することもできます。
このような喜怒哀樂の感情を持つ私たちだからこそ、「幸せになりたい」と心から願い、それを追い求めることができるのです。AIには、この目的そのものが存在しません。
そして、その私たちが求めるべき幸せとは、一時的な喜びや楽しみで消えてしまうものではなく、どんなことがあっても決して崩れることのない「変わらぬ幸せ」です。
親鸞聖人の教えが示す、時代を超える普遍的な道
この「変わらぬ幸せ」への道を、明確に教えているのが仏教であり、親鸞聖人の教えです。
親鸞聖人の教えは、人種、国籍、言語、文化、貧富の差といった、あらゆる違いを超えて、すべての人が等しく救われ、共に本当の幸せに生かされる道を示しています。それは、AI技術がどれだけ進化しようとも、決して変わることのない普遍的な真理です。
生成AIという新しい技術に触れた今だからこそ、私たちは改めて、人間としての自身の存在意義を見つめ直すことができるのではないでしょうか。
便利な道具は最大限に活用しつつ、私たち自身は、人間にしか果たせない「幸せになる」という目的を見失うことなく、その道を真摯に歩んでいきたいものです。親鸞聖人の教えは、その確かな一歩を踏み出すための、時代を超えた確かな導しるべとなるでしょう。
参考動画: AIも答える 親鸞学徒の本道とは